東京国立博物館 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」展





いよいよ明日までとなりました運慶展、
先日満を持して行ってまいりました!
今年一番楽しみにしていた美術展。
どうしても見たかった
東大寺の国宝【重源上人坐像】が後期の展示なので
多分開館時間が延長されるであろう最終週を狙って。
期待どうりの開館延長で
待ち時間無して入場して通常よりはゆったりと拝見することが出来ました。

多分生きているうちにこれだけの運慶仏を一度に拝見できることは
もうないであろうという内容で、
夏から運慶関連の書籍で予習をしていました。
単なる写実では片付けられない、
彼の前にも後にもこれほど稀有な個性が存在しえないという奇跡、
なんだかそうぜずには運慶に立ち向かえないような気がして。


会場に入ると初めに
円成寺の国宝【大日如来坐像】
運慶のデビュー作です。
最初にこれを持ってきますかーーーーー!
円成寺には一度行ったのですが、
お堂の中で薄暗くいらした大日如来坐像が
スポットライトに照らされ360°はっきり!
素晴らしい存在感で最初から完全に運慶に引き込まれてしまいました。
続いて
国宝【運慶願経(法華経巻第八 )】
南都焼討後の復興を願い
運慶が発願した『法華経』の写経。
これも見たかったのです!

今度は運慶のお父さん康慶のこちらも迫力のある像が続きます。
写実という面では康慶の方が激しい表現のような気がしました。
鎌倉時代の玉眼写実の流れは康慶から始まるのです。
平安時代の仏の今様定朝の直系は実は慶派。
康慶から血のつながりはなくなりますが、
この流れも歴史の面白さかもしれません。

そして、、、
静岡願成就院の国宝【毘沙門天立像】!
ホントに素晴らしいです、
ああ、運慶、なんという個性!
同じく国宝【五輪塔形銘札】、
予習していて良かったのはこの札の重要性を感じれたところです。

そのあと神奈川浄楽寺の諸仏へと続き、

こちらも楽しみでしたーーー、
金剛峯寺の国宝【八大童子立像】
8躯のうち6躯が運慶仏になります。
もうホントウにこれでもかと畳み掛けてきます。
素晴らしい!!!
ルネサンスのドナテッロのダビデもマグダラのマリアも
ミケランジェロのロンダニーニのピエタも
完全に霞みます。
何と言っても運慶は彼らよりも前の人物なのです。

そしてさらに畳みかけるように
奈良興福寺北円堂の国宝【無著・世親菩薩立像】
北円堂の中で見る無著世親は本当に厳かですが、
広い展示会場にあってもこれほどの存在感は流石です。
南円堂安置の国宝【四天王立像】との共演は
かつては北円堂にあった運慶作という仮説の共演。
面白い試み!
こまでで前半、もの凄いボリュームです。

後半は
真如苑真澄寺の【大日如来坐像】から始まります。
小さめの仏様ですが、
なんというか存在感が違うのですよねー、
なんでだろう。
円成寺の大日如来にも似たような感じを受けたのですが、
まだ消化できていないところです。

まだまだ続いて
京都・六波羅蜜寺の【地蔵菩薩坐像】、
栃木・光得寺の【大日如来坐像】、
愛知・瀧山寺の【聖観音菩薩立像】
こちらの像の彩色は後の時代のものです。
そしてそして
東大寺の国宝【重源上人坐像】!!!
これは拝見したかったのですーーー。
東大寺に行っても普段は見れないので。
こちらははっきり運慶作とはわかっていないのですが、
多分これだけの表現をできるのは彼しかいないというのは
私でも理解できるような気がします。
これこそリアルを超えたリアル。

最後の運慶仏は
現存する最晩年の作品、
神奈川・光明院の【大威徳明王坐像】。
小作品でだいぶ欠損しているのですが、
傑作です。

そのあとは、
運慶の息子、湛慶や康弁の傑作や
その後の慶派作品が並びます。
見てくると運慶作品の突き抜け加減を実感するところとなりました。

史上最大の運慶展、
日本彫刻史における奇跡の煌めきの存在を感じることが出来ました。